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2023年4月11日
子どもたちに 平和な未来を 〜兵器ではなく文化を〜
人形劇団プークは1929年の劇団創立以来、民衆の平和を願って活動してきました。しかし、太平洋戦争時には治安維持法(戦後に悪法として廃止)によって劇団代表者がいわれのない投獄を経験しています。そして今、「非戦国」から「交戦国」になりかねない防衛費倍増を推し進める日本政府の政策に強い懸念を持ち、断固反対の意思を表明します。
非戦国の我が国が「反撃」「防衛」という言葉の曖昧な拡大解釈によって「実質交戦国」に向かおうとしている事は、明らかな憲法違反です。
また日本政府は、数年での防衛費倍増を大国の大統領に約束し、世界情勢を背景に国民にも自覚と責任を求め、増税を正当化しようとしています。しかもその財源は不確実かつ不明瞭なものばかりで、将来のさらなる増税は想像に難くありません。
さらに、太平洋戦争開戦の大きな財源になった反省から、戦後は決して認めなかった建設国債の防衛費予算化への検討が進められています。これは国の大きな方針転換であり、再び「戦争を行う国」になりかねず、決して看過できません。
私たちは一年前に、権力者が判断を誤ればいとも簡単に戦争が起こってしまう、というロシアのウクライナ侵攻を経験しました。悲しいことに現在も戦争は終結していません。未来の我が国を担う子どもたちの平和を守らなければなりません。平和を維持し文化を豊かにすることに国の力が注がれるよう、私たち人形劇団プークは、強い意志をもち、反戦・平和の声をあげ続けます。
ー 人形劇団プーク代表 栗原弘昌 ー
(2023年4月1日発行 みんなとプーク No.283新年号 『プー吉は進む』より)
2023年1月1日
伸びやかに 願いを込めて
新年あけましておめでとうございます。
今年プークは創立94年を迎えます。長い活動の中でも、この三年間は困難と厳しさの連続でした。コロナウイルスによる活動への影響は、未だ終わる気配はありません。
しかし得たものも少なくありません。対処の仕方も向き合い方もだいぶ変容してきました。オンラインや配信といった手法で、私たちの舞台を伝える方法も広がり、初めて人形劇に触れる人々とも出会えました。しかし、やはり観客の息づかいを感じながら、マスク越しであっても、観る人の笑顔に勇気づけられながら届けられる、生の舞台は格別なものだと、あらためて強く感じています。そして、三年ぶりにやっとプークを観られました、と全国各地のかたがたの嬉しい声をいただき、喜びを共にできる事が私たちの大きな原動力です。
この三年間のコロナ禍で、子どもたちはたくさんの我慢や分断を強いられてきました。いつの時代も子どもたちは、この世に生まれてから3歳を迎えるまでの間に、めざましい成長をとげてゆきます。この3年という年月は、それぞれが自我を確立してゆき、個性あふれる「ひと」になっていく大切な時間です。すべての子どもたちが、限りない可能性を奪われることなく、どうか伸びやかに心ゆたかな人として育つことを、願ってやみません。その思いを込めて、私たちは人形劇で心揺さぶる時を届ける、真摯に舞台創造に向き合い続ける集団でありたい、と思います。
春三月にはプーク人形劇場にて、新作「ねこはしる」を上演します。「生きることはつらいかもしれないけれど、生きているからこそ感じられる喜びは、何事にも代えられない。」日々を生きづらいと感じている若者たち、おとなたちに、エールを贈る舞台として新境地を目指します。
今年も、ご支援をよろしくお願いいたします。
ー 劇団プーク 代表 石田伸子 ー
( 2023年1月1日発行 みんなとプーク No.282 新年号 『プー吉は進む』より )