スペシャル講演会 開催レポート
2024年8月2日に紀伊國屋ホールで初日を迎える公演「チャスラフスカ 東京1964 ー伝説の選手 誕生の物語-」に先立って、去る6月29日、紀伊國屋書店3階のアカデミックラウンジにて、スペシャル講演会が催されました。
登壇者の沖中繁雄さんは、元チェコ政府観光局の局長を務められ、日本とチェコとの交流に長年尽力されてきました。今回もその一助となればという思いで快く引き受けてくださいました。沖中さんは子どもの頃、チェコの代表選手チャスラフスカの体操演技にくぎ付けとなり、そこから彼女の大ファンになったそうです。
晩年まで親交を重ねてこられた沖中さん。最後の来日となる2014年まで、彼女は度々日本を訪問、また亡くなる直前まで日本とのやり取りを続け、そのつながりを大切にしてきたと言います。
政治の渦に巻き込まれ、その後は家族の悲劇に見舞われ、激動の人生を余儀なくされたチャスラフスカ。精神的にも追い込まれ、一時は公の場から姿を消します。そんな彼女を救ったのは、遠藤幸雄選手の存在でした。日本の金メダリスト遠藤は、体操競技を通じ、彼女の技術的なバックアップだけでなく、生き様にも影響を与えたと言われています。その遠藤の病の知らせに、何年も音信不通だった彼女から、激励の手紙が届いたのです。
沖中さんは、この出来事が、彼女に生きる力を取り戻させ、再び表舞台に立たせたのではないかと語ります。人のためになることを、子どもたちのためになることをしたい。遠藤選手の存在は、彼女を奮い立たせ、東日本大震災への支援をはじめとした、その後の社会貢献活動の道へと導いてゆきます。
チャスラフスカの人柄や素顔を垣間見ることのできる数々のエピソードに、会場からはうなり声や関心の声が漏れました。質疑応答の時間も設けられ、中には遠方から駆け付けて下さったというお客様や、今回のコラボレーションが本当に嬉しいといった声も。たっぷり濃密な時間を共有することができました。沖中さん、貴重なお話をありがとうございました。
多くの日本人を虜にした彼女の魅力と、日本との深い縁を知り、公演への期待が益々高まっていく会場。8月の舞台は「チェコと日本の出会い」が大きなテーマとなっています。二つの国と劇団の出会いによって生じた様々な相違や困難、そして発見や喜びを、彼女の満ち溢れるエネルギーと共にお届けできることでしょう。
最後に、講演会に参加したプークメンバーによる意気込みを聞いて終わりにしたいと思います。
有田(遠藤選手役):「お話を伺って、大変プレッシャーを感じますが…(会場から笑いの声)、つい先日までチェコで稽古があって、生活をする中で、チャスラフスカがチェコでどんなに愛されているかということを、ひしひしと感じました。少しでも彼女の魅力を伝えられたらと思っています。それと毎日腕立て伏せを頑張っています!」
制作チーム:「子どものために、人のために生きてきた彼女の想い、エピソードがとても印象的でした。今、世界中を見渡してもそんな人はなかなかいないと思います。ぜひ日本を明るく照らしてくれるような舞台になったらと願っています。」
イベントの概要
人形劇団プーク×アルファ劇場共同制作 紀伊國屋ホール開場60周年記念公演 「チャスラフスカ 東京1964 ー伝説の選手 誕生の物語ー」 2024年8月2日(金)~4日(日)