ワークショップの一場面 講座「子どもの成長と人形劇」について
私たちの人形劇が、必ずしもすべての子どもを楽しませるとは限りません。場内を暗くしただけで泣き出す子どもも増えていますし、人形を怖がることもしばしばです。いったいどうしたことでしょう。
楽しむことにもそれなりの準備が必要だと言えそうですが、このあたりが、子どもの成長、特に「心の成長」と関係がありそうです。「心の成長」において大事なことの中に「感受性」と「想像力」と言う問題があります。
「感受性」とは、外界の刺激を、印象として心に受け入れる働きであり、「想像力」とは、実際にないことをおしはかる力であるわけですから、このあたりが、「楽しむ」ということと関係がありそうです。「子どもは遊びのなかで育つ」といいますが、遊ぶと言うのは育とうとするエネルギーのことであり、育ちたいという意欲の表れです。
遊びで育つ、あるいは上手にあそぶということは、本来、楽しさを発見する能力、そして楽しさを創りだす能力の高まりのことであり、しかも、それを、自分の力で出来るようになることであって、かなり、積極的な状態を言います。ところが、今の世の中、子どもに向かって楽しませようとする力が強くなっていて、たとえばテレビさえつけていれば、けっこう子どもは楽しんでいます。しかしこの場合は、楽しみを与えられる受け身の状態であり、これは消極的な楽しみ方です。
人形劇あそびは、成長しようとする子どもに対して、その意欲やエネルギーに「刺激、増幅作用」をもたらすという意味で、とても大きな力を発揮することでしょう。
人形劇団プーク 事業部 岡本和彦