からくりボックスのトリッキーなしかけに子どもたちが大コーフン! 森で出会ったヘンな生き物“へなそうる”にほっこり大笑いの1時間 – 人形劇団プーク

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からくりボックスのトリッキーなしかけに子どもたちが大コーフン! 森で出会ったヘンな生き物“へなそうる”にほっこり大笑いの1時間

~プーク観劇レポート・2019 年春公演「ふしぎな箱」「もりのへなそうる」~

5 歳のオテンバ女子・マメちゃんとアラフォー母・コバさんが、観劇体験をレポート!
演目は90 周年記念年間公演作品の『もりのへなそうる』と『ふしぎな箱』。
終了後はバックヤード見学で作品づくりの舞台ウラも見せてくれました!

こんにちは!
楽しいことが大好きな母娘のマメ&コバです。
わたしたちが訪れたのは、今年で90 周年を迎えた人形劇団プーク。
365 日ハイテンションのマメに果たしてまともな観劇ができるのやら、ちょっとキンチョーします (汗)。

プークへの道程のスタートは、新宿駅新南口から。
おでかけしたのは3月31日、花曇りの日曜日。
春とは思えないほど凍てつく風が吹きつける中、コートの襟を立てて冷たい手を握り合い、駅から歩き出しました!
目の前の横断歩道は渡らずに、向かって左側へ。
甲州街道を初台方面へ進みます。

十字路の斜め右にファーストキッチンが見えたらアタリ。
そのまま道なりに歩き続けて、横断歩道にぶつかって左折。
通りの右側にあるカレーうどん屋さんとスターバックスを過ぎると、目印の全労済ホールが見えてきます。

「さむいようつかれたよう、もうおうちにかえろうよう」と凹たれるマメを励ましながら、さらにまっすぐ歩き続けると…目指す看板が!

プークは1971 年に日本で初めてできた人形劇専門劇場。
高層ビル街に変わらぬ風情でたたずむ姿は、まるで絵本の『ちいさいおうち』(V・バートン著)です。
地下3 階・地上5 階建てのビルがレトロかわい過ぎて萌える! ねずみ色の壁面に浮かび上がったレリーフは、劇団の歴史を表す年号やキャラたちだそうで、思わず見上げちゃいますね。

入り口では、大きなパラソルと観葉植物の緑に囲まれたカフェテーブルがお出迎え。
エントランスカフェ『コーヒーPUNKTO(プンクト)』は、開場前や終演後にひと息つくにぴったりのスペースです。
後で寄らなくちゃ!

奥に入ると『人形のマド』というちいさなおもちゃ屋さんが。「ママ〜!あのお人形ほしいよ〜!!」が始まらぬうちに(笑)通り抜け、地下に向かう階段へ。

降りる途中の小窓には、劇団のシンボル・プー吉くんとチビの姿がありました。
並ぶだるまちゃんとてんぐちゃんはきっと、次回作の紹介ですね。

写真パネルや壁の穴からちょこんと顔を出したねずみなど、ちょっとしたスペースにも子どもたちが喜ぶ工夫が散りばめられているので、うれしいマメは1人で何度も階段を昇り降り。

アットホームな劇場で、客席は1階席と2階席を合わせても全部で100席ぐらい。
ちいさな人たちの目線に合わせて作られた低い舞台、小ぶりな座席に愛情を感じます。

舞台のどん帳に描かれているのは、太陽の下でのびのびと遊ぶわら細工の人形と馬とカタツムリ。
いまでは芸術の域にまで高められた人形劇も、こうした素朴なわら遊びの中から生まれたものなのでしょうか?

時空を超えた感満載の小劇場で、いよいよ幕が上がります!

今回のプログラムは、最初に併演作品の「ふしぎな箱」を20分間上演し、間に休憩を15分間はさんでから、「もりのへなそうる」を40分間上演するという2部構成。これなら、幼児でも飽きずに見続けられそう。

実際のところ、「ふしぎな箱」は、テンポよく目の前でクルクルと変わっていく箱の変化がたのしくて、あっという間に終わってしまいました!
人形はプー吉くんとチビぐらいで、あとは役者さんたちが箱のカラクリを駆使していろんな世界を見せてくれるのです。

前方に集まる子どもたちはもちろん、隣の席でママに抱かれて眺めていた1歳ぐらいの女の子も、舞台に目が釘付け。
ストーリーを追う必要がなく、イメージの世界が次々と展開していく感じだから、赤ちゃんでも楽しく観れてしまうのかもしれませんね。

しかし、子ども向けと侮るなかれ。
大人のわたしまで口がアングリ開けっぱなしになるほど驚きの仕掛けが隠されていましたよ!

終演後、元気過ぎるマメは幕間にまたもや階段を昇り降り。
なんでそんなに息を切らしてまで動く必要があるのかナゾですが、こうでもしなきゃおとなしく席に座っていられないタチなんでしょうな…。

ゼェゼェいうマメを席に押し込んで自分も着席すると、ちょうど休憩時間終了のブザーが。

いよいよ「もりのへなそうる」の始まりです。
原作は渡辺茂男さん作、山脇百合子さんの挿絵の児童書で、以前からマメも大好きな一冊。
ぜんぶひらがなのやさしい冒険譚が、どんな風に表現されるのか楽しみにしていたところ。

主人公のてつたくんとみつやくん人形が登場して、

「ぼく、てつた。5さいです。ようちえんにいっています!」
「ぼか、みつや。3しゃいです。ようちえんにいって…ません!」

と始まると、前方の子ども席から歓声と笑い声が。
てつたくんのお兄ちゃんらしいエラそうなところや、みつやくんのたどたどしいしゃべりと言い間違いから一気に距離が縮まったのでしょう。

このあともタマゴを“た・が・も!”、ピストルを“しょっぴる”などと、みつやくんが言い間違えるたびに大笑い。

さらに、その“たがも”から生まれたらしい、身体は大きくても赤ちゃんみたいな性格のへなそう
るが転んだり、おかしなことを言うたびに、マメも遠目にもわかるほど大爆笑していました。

おはなしも大満足です!

個人的には、鮮やかな赤と黄色のへなそうるのデザインに拍手喝采。

あー、このバシバシのまつ毛に縁取られたつぶらな瞳と丸みを帯びたかわいらしい鼻面、尻もちみたいなおすわり。

愛さずにいられない姿形が本当の動物のようにイキイキと動く様を見ることができたことがうれしくて、一部の子どもたちが本気で(笑)引いていたライオンと(想像の)カニさんだって素敵でした。

もっといえば、布などで森を表す舞台背景のデザインなども北欧風のおしゃれさで造形のすべてに感心。

随所で生楽器が使われて、音楽も丁寧に作られた素晴らしい舞台でした!

終演後、舞台に上がらせてもらったところ。
座席から見るよりも舞台は狭く感じますね!

舞台に立つ役者さんだけでいかにイメージがふくらむ演出を自然に行うか、練りに練られた配置なのだろうなと感心。
マメもてつたくんとみつやくんの人形や、楽器に触れることができて嬉しそうでした。

残念だったというか、ついにやっちまったのが、終演後にまた階段を昇り降りをしていたマメが転んでしまったこと。
運よくアゴをすりむいただけで済んだけれども、一時大号泣…。

劇場の階段は地下が深く急勾配なので、引っかかるようなお洋服(ワンピースやチュニック)は避けるべしと学んだ出来事です。
それ以前に、階段の昇り降りはやっぱり危ないからくれぐれもやめましょう!

もっとも、念願だった終演後の『コーヒーPUNKTO(プンクト)』に座る頃にはごきげんに。
コーヒーはもちろん、オーガニックにこだわったヘルシーな飲み物が品揃え豊富に用意されているカフェですが、このたびはオススメの「生姜入りバナナ豆乳ジュース」と「カボチャケーキ」「全粉入りクッキー」をチョイス。

自然な甘さがうれしい素朴なおいしさのものばかりでマメもパクパクです。

次に来たときは、母は冷たい「柚子炭酸」をオーダーしたいな!

ここでバナナジュースを飲みながら、金釘文字で劇場アンケートに記入していたマメ。

「たのしかったからまたくるね」

シンプルすぎるコメントだけど、子どもとしては最高の賛辞。

木製のアンケートポストがまたかわいくて、ここに入れたいがためにさらにもう一枚アンケートを書いておりました。
こんどは「だいすき」だって(笑)。

プークの舞台では、人形が舞台に現れると、それを操る役者さんも顔を隠さずに登場するので、いわゆる黒子とは違います。
人形だけがしゃべっているように見せかける腹話術とも違うのは、役者さんは役者さんでしっかり自分のお芝居をしているということ。
ただ、そこに人形が居ることが、あまりにも自然なのです。

丸見えだから最初のうちは子どもたちから「おとながうごかしてるじゃん」などと言われたりもするのだけど、お話が展開するうちに人形に強く惹きつけられて、両者が一体であることが腑に落ち、人か人形かなんて瑣末なことは気にならなくなってしまうのですね。

なにより目の前で、生の人が生の人形を動かす様を見るライブ感!
スマホの画面やスクリーンの映像と違って五感で感じることができるから、より強烈な印象が残ります。
ネットでなんでも検索して見ることができる時代だからこそ、この感覚を大切にしたい。

今回この楽しい2作品を体験したことで、あらためて親子でもっともっと舞台芸術を通したおはなし体験をしていきたいと思いました。

活発すぎて落ち着きのないマメでも十分に楽しめた劇団プークの人形劇。
マメのアンケートのマネじゃないけど、母からも。

「本当にたのしかったから、またくるね!」

次はプークで何を観ようか、今からワクワクしています♪